香りが紡ぐ、ここにしかないおいしさを。「ETEL」がはじまりました。
最初のJOURNALを書こうと思いつつ、少し時間が経ってしまいました。
ETELシェフの田村です。
この度、2023年5月22日より焼き菓子ブランド「ETEL」を立ち上げ、フィナンシェの販売を開始しました。
ETELという名前は、英語で本質的という意味の「essential」とラテン語で旅を意味する「iter」という単語を組み合わせた造語になります。
このブランドを考える際に、どのようなお菓子を作りたいかを改めて考え直しました。当たり前で身近な焼き菓子、誰でも簡単に作れ、優しさのあるお菓子。そんな身近なお菓子だからこそ、改めて素材や配合を見直し、自分の感性でスパイスやお茶を組み合わせ、私たちが考える本質的でここにしかない味わいを生み出すことに挑戦しました。
フィナンシェもそうですが、焼き菓子を色々と作る中で、ほんの少しのこだわりの連続で、素材から引き出される食感や香りは違ったものになり、理想を追い求めた先に見える、奥深い焼き菓子の世界がとても楽しく、美しいと感じました。
ETELのフィナンシェの特長は、「甘く芳醇な香り」と「潤いのある食感と、豊かな旨味」です。
バターのふくよかな香りと、シチリア産アーモンドの杏仁のようなミルキーな香り。そこにスパイスやお茶などを組み合わせることで、他にはない風味豊かなおいしさを生み出しました。
焼き菓子に「潤い」という言葉はあまり使わないと思うのですが、潤いを感じるほどにしっとりと滑らかな食感が最大の特長です。
これはアーモンドパウダーの比率に由来します。一般的なフィナンシェは薄力粉とアーモンドパウダーの比率は1:1から1:1.2くらいでアーモンドパウダーが多く配合されていることが多いです。
しかしETELのフィナンシェは、薄力粉とアーモンドパウダーの比率は1:3。アーモンドパウダーは薄力粉の3倍です。これは数多く試作する中で感じたアーモンドパウダーの最大値です。実は薄力粉を0にし、全てアーモンドパウダーにしたものも作ってみたのですが、あまりおいしくなく、比率を調整しながらこの配合にたどり着きました。
一般的にフィナンシェは浮かせて軽さを出す作り方が多いと思うのですが、ETELのフィナンシェは配合的な理由もありますが浮かせません。浮かせて空気の層を作らなくてもしっとりと滑らかなことと、浮かないように優しく焼くことで、しっとりとジューシーで潤いのある食感を実現しています。
実はこのフィナンシェの原型をはじめて作ったのは2019年の夏でした。その時から気がつけばもうすぐ4年。やっとカタチになりました。
これから、フィナンシェだけでなく、私たちだから表現できる味わいでさまざまな焼き菓子をみなさまにお届けできればと思いますので、一緒に旅をするように、体験してもらえたらなと思っています。
ETEL 田村浩二